英語を話せるようになるには、知っている語彙や文法を短いやり取りで使い、相手の返答を聞いて応じる練習を、一人の準備と実際の会話の両方で行います。最初から流暢に話す必要はありません。まずは身近な場面を一つ選び、用件を伝えて、返事に一度対応できることを目標にしましょう。
「話せる」を、身近な用件と返答で決める
「英語を話せる」という目標を、何でも自由に話せることと考えると、練習の成果を確かめにくくなります。最初は、カフェで注文する、旅行先で道を尋ねる、職場で予定を伝えるなど、具体的な場面に絞るのがおすすめです。
たとえばカフェなら、次の一往復を目安にできます。
- 自分:I'd like a coffee, please.(コーヒーをお願いします)
- 相手:What size would you like?(サイズはどうしますか?)
- 自分:A medium, please.(ミディアムでお願いします)
この段階では、長い説明や複雑な話題に対応できなくてもかまいません。注文を伝え、相手の返答を理解して次の一言を返せたか。そうした行動なら、練習の前後で確かめられます。
短い場面を試して、足りない練習を見分ける
練習したい場面を決めたら、まず台本を見ずに、伝えたいことを英語で言ってみます。途中で止まったら、どこで困ったのかを分けて考えましょう。全部を最初から学び直す必要はありません。
- 言いたい単語が分からない:必要な語彙を補う。
- 単語は分かるのに文にできない:その場面で使う文法や文の型を確認する。
- 相手の返事が聞き取れない:短い音声を聞き、どの表現が分からなかったか確かめる。
- 見れば分かるのに口から出ない:表現を見ずに思い出して言う練習をする。
- 返事のあと何を言えばよいか分からない:次に起こりそうな質問や、聞き返す表現を準備する。
たとえば、注文の最初の一言は言えるのに質問への返事が聞き取れなかったなら、その日は聞き取りを優先します。単語・文法・聞き取りを一度に完璧にしようとせず、詰まった一点を次の練習に選ぶと取り組みやすくなります。語彙や表現の選び方を見直したい場合は、単語とフレーズの選び方も参考になります。
覚えた表現を、返答の予測と内容の入れ替えで使う
短い会話をそのまま暗記すると、相手の返事が少し違っただけで続けられなくなることがあります。表現が何を意味し、どんな場面で使うのかを確認したうえで、自分の用件に合わせて一部を変えてみましょう。
カフェなら、I'd like a coffee, please. の飲み物を、たとえば I'd like a latte, please. のように自分の希望に合わせて変えます。相手から What size would you like? と聞かれた場合の答えも考えておきましょう。別の返答が来ることも想定しておくと、台本の暗唱だけで終わりません。For here or to go?(店内ですか、お持ち帰りですか?)と聞かれたら、For here, please.(店内でお願いします)や To go, please.(持ち帰りでお願いします)と希望を答えます。聞き取れなければ、Could you say that again, please?(もう一度言っていただけますか?)と聞き返す方法もあります。
用意するのは、会話全体の完璧な台本ではなく、使いたい表現と、そのあとにありそうな返答をいくつかです。覚えたフレーズが実際の場面で出てこないときは、覚えたフレーズが使えない理由と対策も役立ちます。
一人練習で準備し、相手とのやり取りで試す
一人での練習は、語句を覚えたり、返答を聞いて意味を確かめたりする準備に向いています。音声を聞いてから台本を隠して返事をする、使いたい表現を声に出す、返答が聞き取れなかった箇所をもう一度確かめる、といった練習ができます。
ただし、相手の反応を予測しきれない状態で応じる練習は、実際の会話で試す必要があります。相手との練習では「注文をする」「予定を確認する」のように目的を先に決め、返答が想定と違ったときは、分かったふりをせず聞き返すところまで試してみましょう。最初は短いやり取りで十分です。
欧州評議会のCEFR Companion Volumeでは、相互行為に関する方略として、ターン交代や協力、明確化を求めることが挙げられています。ここで大切なのは、会話を一人で覚えた英文の再生だけにしないことです。相手の話を受け、必要なら確認して、次の一言につなげる練習も含めます。
会話で使いたい単語やフレーズを準備して復習する補助として、LingoTimを使う方法もあります。既成デッキのほか、自分で作ったデッキや目標に応じたパーソナライズドデッキを使い、間隔反復や音声再生で語や表現を見直せます。対人練習の代わりではなく、会話の前後に使う表現を整理する選択肢です。
流暢さではなく、伝わった行動を振り返る
同じ場面をもう一度試したら、完璧だったかではなく、観察できた行動を確認します。
- 用件を英語で伝えられた
- 相手の返答を聞き取れた
- 分からないところを一度聞き返せた
- 返答を受けて、次の一言を返せた
できたことと、止まった箇所を一つずつ記録しましょう。「返答の最初は分かったが、サイズの質問に答えられなかった」なら、次はサイズの言い方を準備して試せます。期限を決めて流暢さを目指すより、短いやり取りを準備し、相手と試し、次の課題を選ぶ循環を作るほうが、今の自分に必要な練習を見つけやすくなります。
まずは身近な場面を一つ選び、台本なしで試してみてください。詰まった一点を補い、表現を少し変えて、次は相手とのやり取りで使う。伝えたことと返答に対応できたことを確かめながら、練習を次の一往復につなげましょう。
