英語初心者は、まず「今できること」を確認し、使いたい場面と主教材を一つ選ぶところから始めましょう。そのうえで、基本単語と文の型を理解する→短い音声を聞く→一往復の会話で返す→後日復習する、という流れで進めます。
単語や文法を完璧にしてから会話へ進む必要はありません。私たちがおすすめするのは、同じ短い英文を使い、意味・音・応答を行き来する方法です。ここでは「カフェで注文する」を例に、最初の練習まで具体化します。
英語初心者は何から?まず開始位置を確認する
学生時代の成績や学習年数よりも、今どこまでできるかを見ましょう。次の表は正式なレベル診断ではなく、最初に取り組む内容を選ぶための目安です。
| 今の状態 | 最初に取り組むこと | 確認すること |
|---|---|---|
| アルファベットや、文字と音の対応にも不安がある | 文字の形と名前を確認し、身近な基本語を文字・意味・音声のセットで学ぶ | 単語を見て意味を確かめ、音声と結びつけられるか |
| 短い英文は読めるが、聞くと分からない | 意味の分かる短文を、英文を見ながら聞く | 文字を隠しても内容が分かるか |
| 聞けば分かるが、返事が出てこない | 短い問いに、決めた表現で答える | 返答を見ずに一往復できるか |
英語がほぼ初めてなら、文字と基本語の音声から始めて構いません。一方、学校英語が少し残っている人は、短文を読んで意味を説明できるか確認してみてください。できる部分まで最初からやり直す必要はありません。
複数の状態に当てはまる場合は、まず一つの短文を試し、つまずいたところを練習の入口にします。
使いたい場面を決め、主教材を一つ選ぶ
最初の目標は「英語全般を勉強する」より、「カフェで飲み物を一つ注文する」のように、行動で決めると練習内容を絞れます。旅行の予定がなければ、自己紹介や職場でのあいさつなど、自分が使いたい場面に替えてください。
主教材は、次の条件を目安に一つ選びます。
- 日本語解説がある:意味や文の仕組みを自分で確認できる。
- 短い例文がある:一度に扱う内容を小さくできる。
- 音声と英文スクリプトがある:聞こえた音を文字で確かめられる。
- 確認問題がある:読んだだけで終わらず、理解を試せる。
購入や利用を決める前に、サンプルの一課を見てください。解説を読んだあとに「この英文はどんな場面で、何を伝える文か」を説明できるかが判断材料になります。知らない語ばかりで解説も追えないなら、より基礎的な教材を選びましょう。
最初から単語帳・文法書・リスニング教材を何冊も並走させる必要はありません。主教材で足りない役割が分かったときにだけ、補助教材を追加します。
基本単語と文法を、短い文で結びつける
単語の意味と、単語を組み合わせる型は、両方学びます。例えば、まず次の二語を確認します。
- coffee:コーヒー
- tea:紅茶・お茶
次に、注文の文につなげます。
I'd like a coffee, please. コーヒーを一杯お願いします。
I'dはI wouldの短縮形です。「I'd like+名詞」は、欲しいものを丁寧に伝える型で、注文にも使えます。この例の「a coffee」は、コーヒー一杯を表しています。
意味が分かったら、coffeeをteaに替えます。
I'd like a tea, please. お茶を一杯お願いします。
単語だけを覚えると「何が欲しいか」は分かっても、注文の形が出てこないことがあります。一方、文を丸ごと覚えるだけでは、中の単語を替えられないこともあります。語の意味と、再利用できる文の型を一緒に確認するのが、ここでの練習です。
イーオンの初心者向けガイドでも、単語と文法の並行学習や、例文の一部を置き換える練習が提案されています。全員に必須の順序という意味ではありませんが、学んだ内容を使うための参考になります。
文法で迷ったら、主語と動詞、be動詞と一般動詞、疑問文・否定文など、今の例文や教材で必要な項目に戻りましょう。文法を省くのでも、全項目を終えるまで話さないのでもなく、使う文を理解するために確認します。
ここでの確認は二つです。
- 英文の意味と、使う場面を説明できる。
- 飲み物を一語替えて、別の注文を作れる。
覚える単位に迷う場合は、単語とフレーズのどちらを覚えるか迷ったらも参考にしてください。
短い音声で、知っている英語と音をつなぐ
次は、意味を理解した注文の文を音声で確かめます。ここで急に難しい長文へ進む必要はありません。
- 一度聞く:どの飲み物を注文しているか、聞き取れる部分を探します。
- 英文と意味を見る:聞こえなかった部分を文字で確認します。
- もう一度聞く:文字と音を対応させます。
- 音声を止めてまねる:短く区切り、声に出します。
初めは英文を見ながらで構いません。カタカナ表記だけを音の手掛かりにせず、教材の音声そのものを聞いて確かめましょう。
一文が長く感じるなら、「I'd like」「a coffee」「please」のように区切って練習し、最後に一文へ戻します。
確認するときは英文を隠し、coffeeとteaの例を聞いて、何を注文したか答えてみてください。分からなければ、音声を繰り返すだけでなく、単語の意味や英文にも戻ります。
一往復の会話で、見ずに返す練習をする
音読は、目の前の英文を声にする練習です。会話では、相手の問いを受けて返答を選ぶ必要もあります。そこで、次の短いやり取りを練習します。
練習用の架空会話
店員:What would you like? 何になさいますか? 自分:I'd like a tea, please. お茶を一杯お願いします。
まずは両方の台本を見て読みます。次に返答だけを隠し、問いを見て答えます。最後に、注文する飲み物をteaからcoffeeへ替えてみましょう。
一人で練習するなら、店員の問いを自分で読み、少し間を置いて返答します。「今日はコーヒーを頼む」と先に決めておくと、何を言うか考えやすくなります。
確認の目安は、返答を見ずに一往復できることです。これは自由会話ができるという認定ではありません。注文したい内容を、練習した型で返せたかを見る小さな確認です。
意味は分かるのに返答を組み立てるところで止まる場合は、頭の中で訳して返事が遅れるときの練習も参考になります。
復習と確認を入れ、次の場面へ進む
一回の学習では、新しい内容だけでなく、前に扱った語や文にも戻りましょう。例えば15分なら、次のように配分できます。
| 練習 | 時間の例 | やること |
|---|---|---|
| 復習 | 3分 | 前回の語や文を、答えを見る前に思い出す |
| 単語と型 | 4分 | 意味を確認し、一語替えて文を作る |
| 音声 | 4分 | 聞く、英文で確かめる、まねる |
| 応答 | 4分 | 問いに対して、返答を見ずに答える |
これは時間配分の一例で、必須の学習量や上達を保証する基準ではありません。時間が少ない日は、新しい表現を増やさず、前回の一往復だけ確認しても構いません。
後日、同じ表現について次の三点を試します。
- 意味が分かる:英文を見て、内容と使う場面を説明できる。
- 聞いて分かる:英文を隠しても、注文内容が分かる。
- 見ずに返せる:問いに対して、飲み物を選んで答えられる。
意味で迷うなら単語と文の型へ、聞き取れなければ短い音声へ、返せなければ台本付きの一往復へ戻ります。確認できたら、自己紹介など次の場面へ進み、ときどき前の表現も復習してください。
単語と短い表現を復習する補助として、LingoTimで自分の目的に合うデッキを一つ選ぶ方法もあります。音声再生で音を確認し、間隔を空けて復習するSRSを使えます。主教材で学んだ内容を補う選択肢です。
今日決めるのは、使いたい場面・使う教材・最初の一往復の三つです。すべてを一からやり直す必要も、単語や文法を完璧にしてから話す必要もありません。今できるところから始め、分からない部分へ戻りながら、一つのやり取りを練習しましょう。
